映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・ブアマン監督「脱出」2724本目

バート・レイノルズ、ジョン・ボイトなどが出演。アメリカの1970年代の、フォントにこだわりのないタイトルが冒頭に流れる映画、山の中、と来ると、最近私がよく見てる「エンディングが信じられないほどむごいB級カルトホラー」の類いか。

なんか、海外で不適切でバチ当たりな行動をとる不良アメリカ人、みたいな感じの4人。そもそもケガも落水もせず、あんなカヌーで川下りできたのが奇跡だし、村人たちは最初から「俺たちの村をダムの底に沈める奴ら」みたいな敵愾心を感じさせています。この映画、今作るなら舞台は先住民の居住地か、あるいは北米から遠くの、宗教や文化が違う外国になりそう。 

主人公たちに感情移入して見るべきなんだろうけど、調子に乗った悪いアメリカ人観光客を他の国で見ていやな気持になった記憶があって、あまり肩入れできない。(「ザ・ビーチ」の無軌道なデカプリオとか思い出す)かといって、いきなり襲ったり撃ったりしてくる現地の人たちも、普段は弱い者いじめをしたり妻を殴ったりしていそうで嫌だ。

原題の「deliverence」は「救出」っていう意味らしい。川から上がってケガの治療を受けて、からが妙に長い。ハッピーエンドにする気なしだな!

彼らは被害者でもあるけど加害者でもあるから、この先一生、この深いトラウマに捕らわれたまま生きていく、という物語でした。ああ、ほぼ最低な気分…(笑)

ジョン・ブアマン監督 脱出 特別版 [DVD]

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  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: DVD