映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・フォード監督「捜索者」2406本目

ジョン・フォードが監督で、ジョン・ウェインが主役で、アメリカのモニュメント・バレーで撮影されたとなると典型的な西部劇ってやつですねきっと。そして、唐突に何の脈絡も必然性もなく、女子供ばかりが立てこもっている家を焼き討ちにして、逃げようとした幼い女の子まで殺してしまう“インディアン”たち。

数年前にこのあたりに観光で行ったとき、現地の日本人ガイドが普通に「インディアンたち」って今も言ってて驚愕したんだけど、それは変えられない言葉の習慣というだけじゃなくて、頭も切り替えられてないかもしれない。

この当時の“貧しい南部の白人たち”が共通の敵(「あいつらのせいで何もかもうまくいかない」)を求めた気持ちは今はむしろ移民や国外の人たちに向けられていて、たいして何も変わってないのかも。 

一方で、こういう映画に対して「不公平だ、偏っている」と批判したり、双方の言い分を含めて描いたりするのって、アメリカ的“驕り”なのかな、という気もする。だって批判してる彼らは私たちみんなの上にいるわけではなくて敵方当事者なのに、「やりすぎた、悪かった」と謝るならまだしも(「ダンス・ウィズ・ウルヴス」の時代)、いつの間にか上から「双方平等に」(アカデミー賞が白すぎる、とかね)って言いだしている。赤の他人に飲み屋でお説教をはじめる偉いおっさんみたいな、アメリカ的な「俺えらい」病か…。

私たちが知らないだけで、極悪日本人が白人に退治される映画もけっこう作られてたりして…あ、100年以上前に作られた「チート」がそうだった!

しかしこの映画「捜索者」、行ったり来たりが多くて若干むだに長いなぁ。もうちょっとシンプルに監督の思う善悪をパキッと決めてくれてもよかったのに…共感できるかどうかは、長さでは変わらないから。。

捜索者 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2013/09/04
  • メディア: DVD