映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランク・ダラボン 監督「マジェスティック」3408本目

<ネタバレあり>

ジム・キャリーがコミカルな演技をしない作品には、だいたい期待します。(私は「エターナル・サンシャイン」がすごく好きなのだ)

これは、アメリカの郊外の普通の町で戦地へ旅立った地元の人気者の青年が、記憶を失って戻ってくる・・・という映画かと思って見ました。映画の最初の部分だけ、見始めてすぐ一瞬席を立ってしまって、見逃してた。(家で見てるとこういうことがある。)

途中から、どうも明らかに別人だなと思ったけど、どちらかというと町の人たちの視点で見られました。怪しいけど、信じたい。父親とおぼしい男性、恋人だった女性、他にもルークが大好きだった人たちが彼を取り囲んで、なんとか彼をルークだと信じようとする。

一方の脚本家ピートは、”赤狩り”でFBIに追われている。逃げてきたわけではないけど、捕まったらどんな目に遭うか・・・。

・・・これ、日本で映画化したらけっこう涙涙の物語になりそうなくらい、深刻ですよね、見方によっては。でも、だいたいの人たちが温かくてヒューマニティあふれていて、アメリカにはこういう良さもあったなと思い出させてくれます。無理のない、真摯な優しさ。世界中の人がみんな、自分の中のこういうあったかさを思い出して、大事にできたらな・・・と思いました。