映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・ゼメキス 監督「キャスト・アウェイ」3495本目

<結末にふれています>

ゼメキスといえばバック・トゥ・ザ・フューチャーにフォレスト・ガンプ。きっと楽しませてくれるに違いないと思ったら、辛い辛いお話だった。私はいつも人に「1日30時間あるんでしょ?」とか「いつ休むの」とか言われるほうで、何もしない時間がない人間なので、何もないところで何もできない、というのが心底恐怖だ。・・・(それはそれで、島を歩きつくして地図を作ったりなんだかんだして忙しくしてしまうんだろうか)いや、だから、この映画の主旨がわかるような気がする。彼にとって島での4年間は誰よりも長く苦痛で、それを耐える唯一の支えだった恋人に最後、救ってもらえないという結末が苦い。(いや自分のもとに来なかっただけで愛はあったからハッピーエンドだと考えるのか)

ただ、そうやって彼の苦痛をあおっておいて、救いを得られなかった彼がちっとも憔悴していないことで、映画はどっちつかずになってしまったのは事実。「それでも夜は明ける」や「レ・ミゼラブル」のようには彼の内面の苦渋に迫れず、逆に最後のカタルシスがないまま何気なく終わってしまったように思います。