映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ミハイル・カラトーゾフ 監督「怒りのキューバ」3499本目

Twitterでこの作品のハイライトシーンがなぜか何度も流れてくるのを見て、まるで実現不可能にしか見えないそのカメラワークに驚愕したのは私だけではないはず。YouTubeで公式動画が見つかったので見てみました。

キューバは憧れの国。ツアーで見て回れたのはごくごく一部だけど、ストリートミュージシャンやストリートダンサーのスキルがあまりにも高いのと、素朴で明るい人たち、南国のさわやかな気候に魅せられました。老後に移住するためにスペイン語勉強しようと思ったくらい。(一瞬だけ)

でこの映画。音声はスペイン語(キューバだから)にロシア語のボイスオーバー、英語字幕。英語はYouTubeユーザー用につけたんでしょうね。このボイスオーバーのめちゃくちゃ邪魔な感じ、・・・ウズベキスタン航空の機内映画と同じだ。出演者が何人いても男女二人だけがボイスオーバーする。吹き替えじゃなくて、元の音声を残しておいて、少し遅れてロシア語が重なるという、同時通訳方式。ウズベキスタンも旧ソ連だから、この文化を受け継いでしまったのかな。機内で「ジョージアは映画の国だけど、ウズベキスタンの映画文化はあまり盛り上がってないんだろう」と感じたけど、旧ソビエト圏みんな同じなんだろうか。

内容は、戦意発揚というには、キューバ人がやられっぱなしだった。革命で彼らは勝ったのにそういう良い場面がない。冒頭は高級リゾートホテルで水着ファッションショーをやっているところを俯瞰~プールの中にまで降りていくショットが見どころ。悪い外国人は英語を話す。クラブの音楽は「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」みたいなのじゃなくて、この頃全盛期だったアフロ・キューバン・ジャズってやつだな。オチがないんだけど高揚感があってクールなのだ。マチートというアーティストのCDを持ってるんだけど、彼は亡命して欧米で成功したみたい。この音楽は革命のときにキューバから出て行ったのかな。そして今のキューバ音楽に通じる市民の音楽が残った。

Twitterで見た、パレードを追っていたカメラが壁に沿ってビルを上り、葉巻工場の中を通って、彼らが掲げた旗を通り越して、空中からパレードをまた見下ろす映像。ドローンを使っても操作が難しそうな圧巻の映像は、開始から1時間45分頃です。

解説テキストがYouTube動画のところに載ってるので、それも読むと手持ちカメラを受け渡しながら撮影したとか、多少は情報が載ってます。撮影技術に興味のある人には必見の作品です。


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