映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

メアリー・マクガキアン監督「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」3689本目

タイトルを見ると、アポリネールとローランサンみたいにこの二人はそもそも恋人同士だったのかと思うけど、そういう話ではないです。見る順番としては、ドキュメンタリーの「アイリーン・グレイ 孤高のデザイナー」を先に見て良かった。ル・コルビュジェのファンの私も、こっちが先だとついていけなかったと思う。

まぁそれにしてもこの作品のコルビュジェはカッコ悪いですね。上野の西洋美術館のような端正でクールな美を生み出した巨匠が、この体たらく・・・。

この2本を続けて見て「歴史に埋もれてしまった不幸な天才アイリーン」って結論付けて終わる人も多いかもしれないけど、彼女には上昇志向は見受けられない。才能と性格、生き方は別だし、才能のありすぎる女性は昔も今も叩き潰されることが多いので、本人は「お願いだからほっといて」って気持ちだったんじゃないかなと思う。家は自分たちが住むためのものを完璧に作れればそれで充分だったのでは。

それでも嫉妬に燃えるのが上昇志向の強い男たちだ。これほどの才能のある女性に寄ってくる男はダメ男と嫉妬男くらいなのだ。(決めつけすぎてるな)

現代に生きる才能豊かな女性たちに、目立ちすぎず幸せになってほしいと改めて思うのです・・・。