映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イ・ファンギョン 監督「7番房の奇跡」3733本目

韓国で大ヒットし、映画賞をごっそり持って行った作品、らしい。

私はインドネシアから来た女性から勧められて見ました。日本ではそれほど知られてない韓国映画がインドネシアで人気だという事実が興味深いけど、韓流好きの彼女が韓国でなく日本で学んでいるという事実も興味深い。韓流は人気では日本の映画に勝ったのかもしれないけど、産業規模ではこんな小さい島国でも韓国より大きいからか。日本のほうが少子化で人不足だからか。

で、作品ですが、「グリーンマイル」とか「アイアムサム」とか「フォレストガンプ」とか「母なる証明」とか、いろいろ思い出してしまいながら見ました。全体的にコメディの作りなんだけど、なかなか悲惨なストーリー。実話にもとづいている部分はごく一部で、ほぼ創作らしい。極端な善人の父、極端に可愛くて賢い子ども、最初は極悪だけど情にほだされる同じ房の囚人たち。最初は冷酷だったけど、真実を知って味方になってくれる刑務官。本当っぽいかどうかを一切考えずに、最初から「映画で泣く」ことを目的として見るための作品、といえるかもしれない。

批判的に見てるわけではなくて、インド映画や韓国映画は「本当らしさ」を眼中におかず、映画のストーリーはこうあってほしい!という製作者の奔放なイマジネーションで構築していく面がおもしろい、自由だ、という気がします。1920年代とかの黎明期の映画を見ていると、それに近い極端な「かわいそう」にまんまと気持ちをつかまれて、号泣したりすることがあります。そういう意味で、いまのハリウッドって制約だらけで不自由なんだろうなと思う。

セーラームーンのランドセルって、韓国でもほんとに人気なんだな~。(過去形で言うべきかしら)