フランス・イタリア合作で、1963年公開。カラー作品です。
昔の映画って、しょっぱなはあんまり面白そうじゃないものも多い・・・知ってる俳優がいなかったり、あっ!と思うような美しいショット、美しい出演者、すごい展開とかがないと、その世界に入って行くのが難しいことがあります。
でもこの映画は、地味なようでツカミがあります。
カーキ色一色の兵士たちの中で、ひときわダラけたのがジャンポール・ベルモンド。空爆を受けても防空壕に逃げ込まずにスカした態度のジャンポールが見たのは、おしゃれなブラウスを着た若くて美しい女性が、双眼鏡で爆撃機を追う姿。・・・次のシーンで、同じくらい若くてきれいな女性が、荷車に載せられた死体となって現れるのも、スカっと裏切られた気分です。
兵士たちはみんな、どこか楽天的で、非日常を感じさせません。
ジャンポールは双眼鏡の美女とその後ひともんちゃくあります。この辺からだんだん、日常的な常識が通用しなくなり、主人公の周りにも黒いもやがかかりはじめます。ここまでにすでに相当の兵士や民間人が亡くなっているのに、彼らが無事でいられたほうがおかしいくらいだ・・・という苦い思い。
それにしても「双眼鏡の女」の非常識っぷりは、最初から最後までスゴイ。戦争をなめてます。これがフランス人が妄想する「女らしい女」なのかな・・・。
とにかくジャンポール・ベルモンドがチャーミングな映画でした。
現在DVD等では入手が難しそうなので、リンクはナシ。以上です。