映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

行定勲監督「世界の中心で、愛をさけぶ」225本目

2004年作品なのですね。

今更この映画を見るにあたって、若干、あまったるい先入観を持ってしまっていたけど、なかなかよくできた映画だと思いました。

これは、特別ロマンチックな恋愛を描いたのでもなく、愛する人を亡くす悲しみを描いたのでもなく、誰にでも必ず訪れる愛する人との「別れを、きちんと乗り切る」ということを描いた映画なんですね。

人は必ず死ぬ、それもそれぞれ違うタイミングで寿命が来るので、どんなに愛する人とも別れなければならない。誰にとっても必ず辛いことだから、世界中のどの国にもどの民族にも弔いという儀式がある。

これが遺作になった篠田昇というカメラマンのこの前の作品には、私の好きなスワロウテイルリリィ・シュシュがあって、なるほどそういう抒情があるのだなと思いました。

長澤まさみが清楚で美しい。ちょっと健康すぎるかな?大沢たかお森山未來(似すぎ)は普通の高校生らしい不器用さと純粋さをよく表現しています。

もう柴咲コウメッセンジャーの役割を果たす必要すらなかったんじゃないかな、とも思います。原作のナイーブさゆえに心を打つけど、玄人が見てニヤリ、という味わいはないのかな。ちょっとケータイ小説っぽいわかりやすさだけど、私こういうナイーブさ嫌いじゃないです。以上。