映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィンセント・ミネリ監督「巴里のアメリカ人」359本目

夢のような素敵な映画でした。
ジーン・ケリーって、ハンサムで体格がよくて、普通にハリウッド映画で主役を張る“男らしい男”の雰囲気なのに、まるで体重がないみたいに軽々と踊り回るのが不思議な感じ。ニューヨークあたりの、普段着で踊るバレエ・カンパニーみたいでカッコいい。

登場人物がそれぞれ、憎めないいい奴らで、友情もさわやか。衣装もとても素敵です。さすがテクニカラー。お金かかっただろうな〜。
ストーリーはシンプルで、ダンスとストーリーのリンクにいまひとつ必然性を感じない箇所もあるけど。
ガーシュインの夢見るような音楽が、すべてを輝かせています。あんなにたくさん作品を残した人が、あんなに短命だったなんて知りませんでした。長生きしたら、どんなに成熟したすばらしい音楽を作ったでしょうね。

それにしても、この時代のアメリカ人はパリにそうとう憧れてたんでしょうね。日本人がハワイに憧れてたように。なんかそういう、夢と憧れが感じられるところが、この映画の魅力だと思います。