映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デヴィッド・クローネンバーグ監督「危険なメソッド」476本目

ユングフロイトかぁ。しかもほとんど事実に基づいたストーリーなんですね。
シャーロックホームズ対エルキュールポワロみたいなフィクションかと思った(←無知でほんとすみません)

キーラ・ナイトレーの怪演。
美しい身なりをした美しい人なのに、心がみにくく壊れていてそれが外に出て来る。
身なりに波及して汚れてこないことがすこし不思議。
潔癖が度を過ぎて汚れに興奮する人、という感じがして、実際いそうだなーと思う。
性って“普段と全然違う”ことに興奮することだと思うし。
サイテーとサイコーは紙一重だし。

若い頃は、「なんでも性で説明する」ことをミステリアスでロマンチックだと思ったけど、今はそういう考えをする人自身の性衝動が強いんだろうと思う。その人の一番大きくて重要な物差しが性なんだろう。なんでも愛に結びつける人も、なんでも損得に結びつける人もいる。

この映画はマイケル・ファスベンダーヴィゴ・モーテンセンの学者姿が非常に美しく端正だし、無駄なく短いエピソードにまとめたところも良いと思います。事実は映画より奇なり、を体現した作品でした。