1983年の「火曜サスペンス劇場」を劇場版として1998年にリリースしたもの。
冒頭に岩崎宏美の歌の「火曜サスペンス劇場」のタイトルバックが流れるんだよ。これテレビ番組そのものじゃない?あまりに昭和感が強くてちょっとびっくり。画質も相当悪いけど、当時こういうミステリードラマは好きだったので、実は見てたかもしれない。
前に、入江たか子の化け猫映画を見てみたくて「怪猫有馬御殿」を見たら、特典映像に大林監督と入江若葉の対談が収録されていて、この作品を撮った背景を語ってたので見たくなったのです。
赤いバラをアニメーションみたいに撮影したり、海をわたって海藻まみれで伝説の女優に会いに来た男がいたり、少年少女向けのサスペンスドラマみたいな大林監督の世界です。 瀬戸内、洋館、狂気の美女、永遠の愛。
入江母娘は二人ともとてもきれいで、風吹ジュンはとっても可愛い。魅入られてしまう脚本家(早川雪舟がモデルと思われる昔の俳優と二役)はまだ若い柄本明。今なら息子のどっちかがやるんだろうな、この役。
なんか、「トンデモ・ファンタジー映画」なんだけど、一貫したぶっ飛び方をしていて、そこに美しさを見出してしまうとはまりそうな世界。これはこれで良いのかも…。ただ、映画を化け猫と結びつけるものが少なくて、その部分は説得力が弱いですね。つまり大林監督の脳の中に入って、監督の思い入れに浸るしかない映画。でも私には独特の、客観性のない美しさがけっこうしっかりと伝わってきました。