映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

瀬田なつき監督「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」947本目

面白い。(興味深い、という意味も含めて)
NINIFUNIと”ひとり二本立て”で見たのは、なかなかいい組み合わせだった気がする。
青さや痛さのたくさんある、ヒリヒリするような映画でした。
体には生が有り余るほどなのに、心がヒョロヒョロで、いつも傷ついてて、いつも弱ってて、いつもとんがってる、みたいなのが私の”青さ”のイメージ。年をとるとモスキート音(ピリピリ)も聞こえなくなるし、たいがいの罵詈雑言も聞き慣れて刺さらなくなってくる、それを一般には”丸くなる”といいます。

ライトノベルってのは、そのうち”青さ”の感覚をまざまざとリアルに持っている人が書いたり読んだりするもの。この映画は、作ってる人も出てる人もちゃんと”青い”と感じます。

人が死ぬことは悲しむべきことで、人を殺すことがいけないことだと、腹の底から納得するのは、こどもでなくなって初めてできることだと思う。そんな価値観も知識もまだうろうろしてる子たちの映画だ。

染谷将太はいつものようにカンペキで、大政絢は(先入観かもしれないけど)猟奇的で自己チューで可愛い感じでぴったり。鈴木京香田畑智子も、なんかもうこっちの(ライトノベル的)世界に何も違和感なくなじんでます。
映画のつくりも、マイルドに挑戦的。
「嘘だけどね」は「ファニー・ゲーム」に出てくる犯人みたいで、確信犯的愉快犯っぽい怖さがあります。

終わり方がすごく難しいと思うけど、逃避して生まれ変わってまた「リトライ」みたいな、誰もそう思ってないけど一見ハッピーエンド、みたいな終わり方でよかった。