映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

三宅唱 監督「ケイコ 目を澄ませて」3696本目

岸井ゆきのがいいよね。失恋しても、人生につまづいてもがんばる若い女性。過去に見た他の映画からの刷り込みが効きすぎてる?いや、彼女のキャラクターはいつも同じというわけではない。不屈の根性だけが共通で、性格はそれぞれ違うし行く道も違う。たぶんこの路線のまま連続殺人犯の役だってできると思う。

いつも彼女の目がうるんでるように見える。泣くわけない、ホテルのベッドメイキングをしてるような場面でも常に。これは目を澄ませてるっていう演技に伴って涙が多めに分泌されてるんだろうか。

ケイコは試合に敗れ、ジムは撤収されつつあるけど、会長は車いすの上でまだまあまあやっていけそう。ケイコが河原でたそがれていたら、対戦相手だった女性が近づいてきた。現場監督みたいな仕事の最中みたいだ。「この間の試合ありがとう」と手話交じりで話しかけられ、ケイコはうるんだ目でうなずく。でエンドロール。・・・しんみりといいなと思うけど、短編映画って感じがするなぁ。この短編秀作をモチーフにして、長編を撮ろうと思ってるんだよ、って言ってスポンサーを募るやつ、みたいな。

このあとどうなるのかな、という余韻はある。でもそれはケイコというよりこの映画とか、この監督の意図はどっちに向かってるのかな、という余韻のようにも感じられるのでした。