原題は単に「人生最良の日々」なんですね、知らない人はいない「男と女」の第三編。ジャンルイ・トランティニャンを「愛、アムール」で知った私としては、「うっわ老けたな!」ということもなく、美老人のように装ったらどんな感じだろうとずっと思ってました。アヌーク・エーメのほうは最近の姿を見ていなかったので、可憐でか弱い姿がすっかり強さを備えているのを見て、女性ってすごいなぁと感動しました。
この映画は、1・2の、時間の空いた続編の体裁ではあるけど、抱き合う二人のすぐ隣にあった視点が今回はずっと高いところにあって、まだらにぼやけた愛の記憶がなにか普遍的な天上の出来事みたいに昇華されていくのを、目撃しているような気持ちになります。
生命って長ければ偉いわけじゃなくて、一瞬でもあれほど美しい愛の世界にいたことが、この映画みたいに一生その人を満たし続けるから、ジャンルイはきっと「もういつ召されてもいい」くらいの境地なんじゃないかなー。アンヌも彼の変わらない人となりと、変わらない愛に触れて、もう思い残すこともないだろう(まだまだ生きるだろうけど!)
なんか昼の陽射しの中で自然に還っていくような、あかるい時間を予感させる映画でした。