映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウィリアム・ディターレ 監督「キスメット」2661本目

舞台はイラクのバグダッド。イラク人って実際はどんな風貌なんだろう。ググってみたらアラブ系なのは当然だけど、かなり濃い系でアメリカの俳優ではちょっと物足りない気もしますね。キスメットというのは登場人物の名前かと思ったら違うみたいだ。またググったら、「アラーの意思」という意味のトルコ語ですって?

メドゥーサみたいな頭のマレーネ・ディートリッヒ様のお名前はキスメットじゃなくてジャミラ。ウルトラ怪獣で有名な名前ですが、語源はこの映画じゃなくてアルジェリアの活動家の名前だそうです(その人も女性)。御年43歳にしてこの美しさ、若々しさ、すごすぎる。そしてこのけだるい歌声。

とはいっても若い王子とのロマンス(王の庭師の子だと思い込んでるけど)にときめくのは ジョイ・ペイジという可憐な黒髪の女優さん。インド入ってないかな?

ストーリーはじつに他愛なく、アラビアン・ナイト風のきらびやかな建物も衣装も美しい娯楽映画です。乞食の王と自称する男が本物の王と勘違いされたり、本物の王子が庭師の息子を偽って美女とロマンチックなひとときを過ごしたり(それが本当に妃になるというハッピーエンド)。

1940年の技術を駆使した特撮のマジックも楽しいです。この映画、当時日本で見たらそうとうときめいただろうな。

「Remember yahoo?(「野暮天」だろ、覚えてるか?)」って会話が何度も出てきます。舞台はバグダッドなのに、これってアメリカ南部のスラングなんですって?そのたびに「ええもちろん知ってますよヤフー」って答えたくなってしまう!

キスメット [DVD]

キスメット [DVD]

  • 発売日: 2011/12/26
  • メディア: DVD