映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マシュー・ミーレー 監督「ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート」2647本目

 ニューヨークにある「バーグドルフ・グッドマン」というデパートのことを取り上げた映画。タイトルが日本での知名度の低さを物語ってますねー。私もNYに行ったときにたまたま近くのホテルに泊まらなかったら、知らなかったかもしれません。日本に何店舗もあるバーニーズのほうが高級で有名なのかと思ってたけど、この映画を見る限り、「格が違う」。ロンドンのハロッズとも違います、あれは巨大でファッション以外のあらゆる商品をなんでも置いてある百貨店だから。

このデパートは本当に何もかも美しくて、うっとりする素敵なお店でした。私はハイ・ファッションは自分で身に着けるものじゃなくて美術館のアートのように思ってるので、ただ目を輝かせてお茶でも飲んで帰ってきただけですが…。

この映画も美しく素敵でした。が、やっぱり、トップレベルの販売員の年収が40~50万ドルというのは衝撃。アメリカの貧富の差がすごいとは聞いてたけど、店舗を訪れたNYの顧客も驚いてたので破格なんだろう。

バーグドルフ・グッドマンは2013年っていってたかな、ハワイに拠点を持つニーマン・マーカスというデパートに買収された、という字幕がこの映画の最後に流れます。ニーマン・マーカスも素晴らしいデパートです。ハワイ一度だけ行ったとき、そこのレストランで軽いランチを食べたんだけど、それがまた素晴らしく綺麗で美味しかった…

栄枯盛衰だわ、と思ってググってみたら、コロナの影響でニーマン・マーカス傘下の、バーグドルフ・グッドマンを含む全店舗が一時休業、そして2020年5月28日に破産法の適用を申し立てたというニュースが眼に入りました。コロナの影響は外食産業や旅行業には巨大なダメージを与えてるけど、ITやゲーム産業はむしろ潤っていると聞くので、高級衣類を買う大金持ちは絶滅してないと思うけど、コロナは人に外出を自粛させるので、どんな大金持ちも家や近所で過ごすための服しか要らなくなるんだろうな。

憧れるけど、どうしてもなんとなく、はかない気がするファッションの世界。一生のうちもう一度行けるかどうかもわからないけど、あの素敵なバーグドルフ・グッドマンやニーマン・マーカスはずっと素敵なままでいてくれたらなと思っています。

ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート(字幕版)