映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョー・ライト監督「プライドと偏見」2699本目

ひとりジェーン・オースティン特集。この映画を見てなかったのは不思議。今から15年も前の作品だ。

キーラ・ナイトレイ、ロザムンド・パイク、その両親はドナルド・サザーランドとブレンダ・ブレッシン(「秘密と嘘」の!)、ジュディ・デンチにキャリー・マリガン、とリッチな配役。男性陣は知らない俳優さんばかりです。ダーシーを演じたマシュー・マクファディンもイメージ通り。(「アンナ・カレーニナ」ではキーラ・ナイトレイ演じる主役アンナの兄をやってたのね)(そしてまさかの「グラインドハウス」内の予告編のひとつに出てたらしい。しかも監督はエドガー・ライト。覚えてるわけないじゃん!w)地味だけどこういう俳優さんはいい歳を重ねて、やがてスネイプ先生になっていくと予想します。ダーシーの友人ビングリーを感じよく演じたサイモン・ウッズは13年も前に俳優を引退してたんですね。女たらしの悪党ウィッカムを演じたルパート・フレンド、彼はちょっとイメージと違ってた(ジュード・ロウみたいな二枚目がやる役かと思ってた)けど、実際にジュード・ロウとサイモン・ウッズがそこにいたら、美麗すぎるジュード・ロウにはびびって優し気なサイモン・ウッズに話しかけてしまいそう。それはつまり「人好きがする」(人たらしの素質がある)という意味で絶妙なキャスティングなのかもしれません。

これも何十年も前に英語で読んだ小説なので、なんとなく重厚で格調高い気がしてたけど、エリザベスの家族はとんでもない俗物でミーハーで、マックの隣のテーブルでハンバーガーでも食べていそうな人たちだし、堅物すぎて誤解されやすいダーシーも理系男子とかにいそうな感じ。人間に注目すると、どんな時代のどんな小説も急に自分のことのように思えてきます。だからジェーン・オースティンやアガサ・クリスティといった人間観察の鋭い女性作家は普遍的に読まれ続ける。

プライドと先入観。誰かから吹き込まれたデマを真に受けて人を誤解することが、どれほど多いか。人の眼を気にして、なりふり構わず本当のことを伝えることが、どれほど難しいか。見ごたえがあり、見終わったあとに満足感もある作品でした。

二人は結婚後、ジュディ・デンチ叔母のいやみや、妹たちの不品行でずっと悩まされるんだろうなという含みのある、ハッピーエンドというよりゴーイング・コンサーンとしての人生の正しい通過点という感じの映画でした。 

プライドと偏見 (字幕版)

プライドと偏見 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video