映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

パオラ・デ・フロリオ 監督「永遠のヨギー ヨガをめぐる奇跡の旅」2852本目

私は、ヨガも瞑想も好き。インストラクターを目指すほどの真剣なヨギー(ヨガをやる人のこと)ではないけど、ストレス溜めやすいほうなので、ひたすら無心でいられる時間は大切。

この映画の主人公ヨガナンダのことは最近まで知らなかったけど、知り合いから自伝をもらって読んだら映画もあるというのでレンタルしてみました。瞑想やヨガって、インドの山奥が源流だけどずいぶんと流派が分かれてるんだよな。ヨガスタジオでは、入れ代わり立ち代わり、いろんな流派のインストラクターがいろんなヨガや瞑想、ピラティスなどを教えてくれます。瞑想をやってる団体もたくさん…TM、マインドフルネス、ヒンドゥ教の儀式から始めるインド系の種類もすごいけど、仏教系もいろいろ。

ヨガナンダはインドで修業してたら師匠に「お前はアメリカに行って欧米へヨガや瞑想を広めるように」と言われて、海外で普及に貢献した人。面白いのは、彼の教えには常にクリシュナとイエス・キリストが並列で示されること。ヨガは宗教ではない、神はひとつであって、信仰を深めるためにヨガをするのだ、ということらしいです。

ラヴィ・シャンカールとかジョージ・ハリスンもインタビュー映像が出てくるし、スティーブ・ジョブスがiPadに入れてたのが彼の自伝だというのは、知る人は知る事実らしい。自伝には永遠にヒマラヤの山中で生き続ける聖人や、50年間何も食べずに生きていた在野の女性とか、奇跡の話が多いので、そういうのが苦手な人はドン引きしてしまうかもしれないけど、私はキリスト教でも仏教でも、敬虔な信者の澄んだ目とか幸せそうな表情とかに憧れるので、山に住んで瞑想だけして暮らせたら~と夢みてしまいます。

ヨガナンダはインドにもアメリカにも学校を作って、そこでは今もヨガや生き方を教えているけど、創設者がいなくなって長い時間がたっても同じように存続するのって難しくないかな。

この映画は、自伝を読んだ人には映像でイメージをふくらませることができて良いけど、元々ヨガにも瞑想にもヨガナンダにも興味がない人にはツライかも。この映画では自伝には書かれなかった批判や反対運動も取り上げているのが興味深かったです。聖人にも耐えがたいほどの試練があるんだなぁ。口述される自伝を書き留めたりタイプしたりする弟子たち、という話も新鮮でした。

瞑想はどんな人にもおすすめしたいけど、この映画を見てやってみようと思う人ってあまりいないかもな…。