映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロバート・グリーンウォルド 監督「ザナドゥ」3567本目

オリヴィア・ニュートン・ジョンが亡くなったときこの作品もVODで探したけど見つからなかった。これがU-NEXTに新入荷してたので早速見てみます。

アイドル的な映画に往年の大スター、ジーン・ケリー。こんな人が出てたのか・・・。で、ELOが音楽をやってたんだっけ。ここまでですでになかなかのミスマッチです。

主役の男性は「レコードジャケットの写真を模写する仕事」をしている。そんなのがあったのか。昔の映画館の看板描きみたいなものかな?

オリビアは音楽とダンスの妖精という設定。作りが小さくて整ってるので、確かに彼女の容貌は妖精っぽい気がする。空を飛ぶでもなく、ローラースケートをすいすいと乗りこなしてるのが、青春映画っぽくもあって、これも不思議なミスマッチ。

肝心のジーン・ケリーとのタップダンスは、そもそもジーン・ケリーやフレッド・アステアと共演してきた女性たちは、彼らに匹敵するほど超偉大なダンサーではなかったと思うので、これでもいいのかもしれません。美しいし。

ザナドゥを夢見る男二人が夢見るステージは40年代と80年代の音楽を組み合わせるミスマッチ。いろいろ荒唐無稽で、盛り沢山で、ものすごくカラフルで甘いアメリカのケーキの上にマーブルチョコや粉砂糖やサンタの砂糖菓子、いろんな甘いものを全部のっけたような感じ。でも作ってる人の純真さが伝わってくるような無邪気さがあって、悪趣味に感じません。「チャーリーとチョコレート工場」みたいな映画だと思って童心で楽しむのがいいんじゃないかな。

映画は酷評され、その後だいぶたってから制作された舞台版は大好評だったとのこと。これ実際舞台で見たら楽しいだろうな。1980年より今の方が、ダンスの多様性が広がっていて、SNSでよく「xx年代から現在までのダンスの系譜」みたいなまとめ動画が回ってきたりする時代だし。

ラストに流れる、あのヒット曲「ザナドゥ」、どっから聞いてもELO+オリヴィアじゃないか。そんなことも忘れてたのか。

バブル前の、まだ不安の影も何もないハッピーなハリウッドの映画だ・・・。点数はつけづらいけど、私この映画わりと好きかも。見てみて良かったです。

ザナドゥ (字幕版)

ザナドゥ (字幕版)

  • オリヴィア・ニュートン=ジョン
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