テーマはあまりに見慣れてるように思えたけど、見てみたら実に魅力的な作品でした。キャラクターもストーリーも頭に入ってるのに、表現だけの違いがすべてだといってもいいのかもしれません。
デル・トロ監督なので、子どもの純真さを哀しく描いて胸を打つのかなと思ったら、その点は予想通りでした。この木でできた、ニスも塗っていない木目のままのピノッキオの素朴さが可愛らしくて、わがままも気まぐれも子どもらしくて惹きつけられます。ゼペット爺さんも、セバスチャンも、魔女もサーカス団長も・・・そしてケイト・ブランシェット演じるおサルさんも、実に、実に生きています。これほどの豪華キャストが姿を見せず完全にサルやコオロギです。監督の手腕という他ありません。
なんか、大好きな絵本を集中して読んでいたら、キャラクターが動きだして音まで聞こえてきて、すっかり世界にはまりこんでしまった、みたいな感じの作品です。楽しさも切なさもヤバさも、相乗効果で倍増する。ほんとうに監督は子どもの世界を作り上げるのがうまいんだ。