映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クリストファー・マッカリー監督「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」3670本目

暑いし忙しいし映画の日だし、何かスカッ!とするものを見ようと思って行ってきました。結果・・・めちゃくちゃスカッとしました。娯楽映画ってこういうのですよね。

身体張って命がけのアクションに挑むトム・クルーズを見るたびに、「要心無用」という昔の映画を思い出します(いくつだ私は)。無邪気な笑顔のハロルド・ロイドは、高いビルの壁面の大きな時計の長針に素手でぶら下がるスタントを、過去のロケで指を数本失った手でこなしたという・・・。昔から観客たちは、身体を張った演技に夢中になってきたわけで、この作品もまた映画の王道ど真ん中を行く演技で、観客を振り回してくれました。前のめりになったり手を握りしめたり。最近のホラー映画みたいにびっくりさせたり怯えさせたりせず、ギリギリ本物の恐怖にならない線スレスレを駆け抜けてくれました。

突っ込み始めると、そりゃキリがないですよ。殺すの殺さないのと言ってたくせに、なんで取っ組み合いなんかするんだ、さっさと撃ってしまえ。とか。鍵を取られたくなければ口にでも入れとけ、とか。そういうことに目をつぶるというより、素晴らしい部分を見ているとそれ以外のところに目がいかない、という楽しみ方のほうがいい気がします。

「トップガン・マーヴェリック」もだけど、いつの時代にも、その時代の最高の技術を使った上で、観客に最高に訴えかける場面を人間の感覚で作り上げることが、映画製作者の誇りだと思うし、それを真剣に楽しめて今日も幸せな観客だったなーと思います。

2時間半もあるのに全然長いと感じなかったなぁ。終盤に、みんな予告編で知ってる崖落ちがあるからかな。パート2もトム・クルーズの身体が動く限りはきっとすごいものになるでしょう。その辺の予想がつかないところや、どんな無茶も子どもみたいな笑顔でやり抜く明るさが、彼のスター性なんだなと改めて思いました。