映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

パトリック・ジュディ監督「ジェラール・フィリップ 最後の冬」3669本目

ドキュメンタリーに原作があるってどういうことだろう?ストーリーの部分は本によるんだろうな、でも家族で撮ったビデオみたいな映像面の重要な部分は、あとで付け足したというのはもったいないくらい。

映画を毎日のように見るようになった10年くらい前に、自分の中でなぜか突然ジェラール・フィリップ「ブーム」が起こって、片っ端から見たことがあった。ファンファン・チューリップはびっくりするくらい、小さい女の子が夢見る王子様そのものだった。すごく若くして急に亡くなったことは知ってたけど、父親のことや妻、子どものことはまったくイメージできなかった。ここまで私生活を覗いて見てもなお、安っぽさやカッコ悪さがまったく見えない。だからといってファンとはいえないのは、あまりにも隙がないように見えるからかも。人類の出来のいい個体として遠巻きに見てるような。

長生きしたら、それはそれは美しい老人になっただろうな。美しいだけではなく、賢くて勇気のある。ほんとにすごい人だった、と改めて思いました。