映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ラース・フォン・トリアー/ヨルゲン・レス監督「ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦」3693本目

出たラース・フォン・トリアー。「ハウス・ジャック・ビルト」だけは怖くて見てない。これは怖い映画ではなさそうだ。でも、「ヨルゲン・レスが1967年に制作した作品のリメイクを5本作る」と言われても、元作品はもちろんその監督も知らない。KINENOTEにこれより前の作品の記録もない監督(兼俳優)だ。全然とっかかりがないけど、どんな作品だか見てみる。

デンマークの監督たちから見て、キューバのこの男女はパーフェクトヒューマンなのか。この試作を見ながらお酒を飲んだりしている監督たち、ぜいたくな大人の遊びって感じだなぁ。こういう遊びは、高いジュエリーやブランドの服を着たり高級ホテルに泊まったりするより豪華に見える。自分たちで遊び方を考えてるからかな。

次の舞台は「世界で最も悲惨な場所」としてボンベイを選んでいる。もっと悲惨な場所は他にたくさんあると思うけどな。

それからブリュッセル。これもまた静かで美しい映像。ここまで、どれも地域らしさを感じさせるなかなか素晴らしい作品なんですよ。なのに、ここでラースはヨルゲンに「アニメを作れ」という。これは無理ゲーってやつだ。ラースはドSだ。しかし出来上がった作品は、意外にもすごくクールで美しい。結果、ラースでなくヨルゲンの挑戦はすべて成功に終わってしまった。

最後にヨルゲンは、「私を追い込んで本質をさらけ出させようというラースの挑戦は失敗した。その失敗によってラースは自分自身をさらけ出すことになったのだ」という。それも含めた挑戦だったのか?

…「大人の遊び」から「映画制作手法についての作品」のようになってきて、見ている私にも新鮮な映画でした。映画の作り方に興味のある人なら楽しめる作品だと思います。

で、おおもとの「The Perfect Human」、ググったら公式サイトでフル画像が見つかりました。見てみたら(英語字幕すらない)、思ったより単調で、この映画で断片的に取り上げられたものだけ見た方がスタイリッシュ感あるなぁという感じでした。