映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エドワード・ベルガー監督「西部戦線異状なし」3620本目<KINENOTE未登録>

<結末にふれています>

名高い1930年版の旧作を見た記憶があるけど、感想は書いてませんでした。詳細はほとんど忘れてしまったけど、戦争をずっと経験してきてなんの希望も持たなくなった主人公が最後にやられて、それにもかかわらず戦場から本国へは「西部戦線異状なし」という報告が行われている場面で終わることだけは強烈に印象に残っています。

原作はドイツ人だけど旧作はアメリカでの映画化。これがナチス台頭後の第二次大戦を描いた作品だったら、それはなかったんじゃないかと思うけど、描かれているのは第一次大戦。アカデミー賞各部門で受賞したこのNetflix版はドイツの制作陣によるもの。国内の映画館で上映されなかったことでKINENOTEに登録がないのはとても残念です。

旧作もこんなだったのかな・・・ひたすら、若くて美しいドイツ軍の青年たちが、重要でないもののように次々と斃れ続ける映像。・・・仮面ライダーの「ショッカー」とかテレビゲームの敵方の非重要戦闘員を思い出します。彼らにも親や恋人がいる。第二次大戦後、悪役のマスクを張り付けられたまま、はがしようがないドイツ軍の人々の本当の顏が初めて見えてきたような気もします。