映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

松浦弥太郎監督「場所はいつも旅先だった」3737本目

暮しの手帖もと編集長の松浦弥太郎が監督したドキュメンタリー。

ツアーでなく個人で旅行するときは、海外にかぎらず国内でも、いろんな場所にのこのこ出かけていったり、行きつけの店ができたりするのも楽しい。

私はどんな旅も好きで、いわゆる名所は膨大な数の人たちを感動させてきただけのものはあるし、女が一人で言葉も通じない外国の深夜や早朝に出歩くのは危険すぎるとも思うので、この映画のような一人歩きはやっぱり、なかなかできないと思う。年齢問わず、つよい人は何時でも歩き回ってみるといいんだと思います。

といっても私も、言葉が通じて比較的治安がいいと思われる国では、この映画みたいにあちこち行きます。ダブリンとかロンドンとかシアトルとかエジンバラとか。

1人で出かけるときも、現地ツアーに入ると、ドライバーやガイド、他の地域からの観光客と話すのが面白い。ツアーの食事は朝と昼しかついてなかったりするから、毎晩いろんな店にご飯を食べに行く。

でも結局、この映画を見てて思ったのは、「PERFECT DAYS」と同じで、自分の居場所は自分の行動範囲内で自分で見つけるってことだな。居心地のいい場所は、自分で探して、自分で作り上げていく。そうやって、世界中のどこで何をして暮らしていても、そこが自分のパーフェクトな時間になる。

他の映画のことばっかり書いてますが、「PERFECT DAYS」に出てくるトイレと代々木八幡神社にこの間行ってみたら、なんつーことはない小さな神社とちょっとだけ変わった形のトイレだった。当たり前だ、それらは自分にとって身近でも生活の一部でもないから。その場を自分のものにしていくための、少しの時間と心の持ちようが必要なんだと思う。

今はご近所ライフを楽しんでるけど、またいつか外国のどこかの街角を歩き回ってみたいなと思う映画でした。そこもまた、ご近所の延長。