映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ビクトル・エリセ監督「ミツバチのささやき」3751本目

(見たのは2013/6/26、VHSレンタル。なぜかこのブログに書いてなかったので記録しておきます。)  

1度見ても良さがわからなかったので、解説や他の人の感想を読んだ後もう一度見ました。
そうやってみないとわからない映画が、私の場合三分の一くらいあります。

最初は、母の手紙が中心のストーリーなのか(失われた家族の謎、とか)?父のミツバチが重要なのか(全滅してその後過程没落とか)、あるいは小さい女の子たちの日常がテーマなのか(それにしてはタイトルのミツバチとふれあう場面がないな)とか考えて眺めていました。
子どもたちの出番は多いけど、勝ち気なイザベルと違ってアナのほうはいつも「つれてこられた子ども」のような顔(大人が可愛いと感じる表情かもね)をしていて、自分でどかどか歩いて冒険していく目じゃないので、彼女たちが中心だというインパクトがありません。でも、アナのこのぼんやりした感じは、夢遊病のようにさまよい歩くほうの女の子っていうイメージを表してるのかな。

全場面の画面がつねに、名画のように美しく、あどけない少女たちに対するやさしさに満ちています。たぶん、「美しさ」の優先度が「ストーリーを伝えること」より高いんですね。この映画はドラマじゃなくて絵本なんだな。

この映画のテーマをひとことで表すと「なぜ“フランケンシュタイン”は殺されなければならなかったの?」でしょうか。