映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アキ・カウリスマキ監督「ラ・ヴィ・ド・ボエーム」3750本目

わかりやすい映画だった、カウリスマキ監督にしては。

「ラ・ボエーム」は権八と同系列のカフェ、じゃなくて、プッチーニの有名なオペラで、ボヘミアンな男女のうち薄幸のミミが病死するのは既知なので、「ロミオとジュリエット」のようにこの筋をベースに見れば、監督がどのへんを味付けしたかがわかりやすい。

マッティ・ペロンパーの哀愁が際立っていますね、ほかの作品と比べて。この人の目立つ口ひげは、赤いズボン・尖った靴と並んで、私の中の「見栄っ張り男見きわめ三大ポイント」となっていて(根拠なくてすみません、なんとなくです)、プライド高く肝っ玉ちっちゃく、ビッグマウスでいつも貧乏している愛すべき男の象徴のひとつなのですが、この映画の彼はまさにその哀愁のかたまりのようです。ミミもそんな彼が愛しくてたまらないのでしょう。

それにしてもマッティ・ペロンパー、いつもの彼の声のようなんだけど、もしかしてフランス語が堪能?よく見るとジャンピエール・レオだけじゃなくてルイ・マル(!)まで登場していて、これは監督のフランス映画の歴史に対するリスペクトとかオマージュなんでしょうか。それぞれ、なかなか良い演技をしてるなと思います。

「雪の降る街を」、ある世代以上の日本人なら聞けばすぐわかりますが、これって「スキヤキ」みたいに世界的にヒットしたんですか?そんな情報はネットでは見つからないので不思議。これが邦画ならベタだけど、「PERFECT DAYS」劇中歌なら石川さゆりが演歌を歌ってもクールなのと同様、フランスが舞台のフィンランド映画だと思えば面白く感じます。歌唱がまるでスナックでちょっと歌のうまい客が歌ってるみたいにさりげない、フォーク調なのもよいのではないでしょうか。

「レニングラード・カウボーイズ」を最初に見てしまった観客としては、監督がいかにさまざまなテイストの面白い作品を作り続けてきたか実感できて、とてもよかったです。

 

ラヴィ・ド・ボエーム (字幕版)

ラヴィ・ド・ボエーム (字幕版)

  • マッティ・ペロンパー
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