<結末にふれています>
吉永小百合が過去の映画について語るインタビュー本を読んで、見てみたくなった1本。この映画は、インタビューと公開時期が近いので、制作裏話なども詳しく書かれていました。「北の」シリーズは吉永小百合自身がプロデューサーのような役割もつとめてたようですね。反戦の気持ちが強く、人情あふれる世界を愛する人だと思うので、このシリーズができたんだな。役どころについては、本人が「この年では無理」というのを監督が「戦時中のお母さんは若くてもくたびれていたから大丈夫」と説得したとのこと。阿部寛と夫婦の時期は少しだけで、すぐに実年齢に近い年代に移行するのですが、もうちょっと引きで撮ってもよかったんじゃないか、とは思います。
途中、あまりに悲惨な場面は舞台上で演じるミュージカル仕立てになっていると書いてありましたが、その辺も含めて脚本家とよくよく話し合って作ったようです。前年に吉永小百合自身が網走で流氷を見て、ぜひここで映画を撮りたいと切望して、撮影の際は漂着するまで何日も待った、とか。北海道への思いは特に強いみたいですね。
だんだん、年齢を重ねて、あと何本撮れるかと考えるようになると、なるべくやりたいことをやろうと思うんだろうな。戦争を語ろうとすると、よほどリアリティを追求する強い気持ちがなければ、どうしてもデフォルメしてしまいがちだと思います。私は、伝えたい「気持ち」のほうを重視する映画をいつも「ファンタジー」と呼んでますが、これもまた一種のファンタジーとして見れば、伝わってくるものもあるんだと思います。
行方不明の2年間の後、とうとう白髪になった吉永小百合。どこにどうやってたどり着いたのか、謎。もしかして、バス停を後にするところで本当は終わるはずだったけど、結末を取ってつけたんだろうか?最後の最後の舞台は、「アンダーグラウンド」で最悪の悲しい事態でもう夢をみるしかない、という感じで踊りだすのを思い出しました。
気になったのは、あんなに美味しそうなおにぎりを買う人がまったくいないなんて、リアリティなさすぎるな~っていう点かな?(まるで本筋と関係ない)
北の桜守
- 発売日: 2018/10/03
- メディア: Prime Video