1958年作品。森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺の3人を主人公にしてたくさん作られた「駅前シリーズ」映画の最初の作品。ただし、井伏鱒二原作のこの作品の成功にあやかって次々と新作が撮られたらしいのですが、監督はいろいろです。
感想:面白い!
喜劇なんで「人生を変えるような感動がある」というのではないけど、自分の親かそれより上の世代の人たちの輝き、活気づいてきた頃の東京…今よりちょっと荒っぽくて元気があふれている、そういうものを見て感じられるだけでも見る価値があります。
中心となる3人のすばらしい俳優さんに、大勢の登場人物がにぎやかにからみます。舞台が旅館で、団体客がざくざくやってくるので、画面に20〜30人映っていることも多く、そういう団体客とか通りすがりの酔客なんかが非常に生き生きと叫び、走り、踊りまわっていて、まるでミュージカルのようです。
それにしてもこの3人、森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺、すごいですね。こんなに才能豊かな俳優さんが今いるでしょうか?…特に森繁久彌が素晴らしいです。実は私、名前を見るまでこれが森繁だと気づきませんでした。同じ頃の「社長シリーズ」に出てるのはすぐにわかるんだけど、私の中に彼は貫録があってエラソウな人だと刷り込まれているらしく、旅館の番頭さんになっている姿は想像できなかったようです。
ところで、この予告編が最高です。テンポもいいしキャッチコピーもいいし、冒頭で3人+淡島千景+淡路恵子が小料理屋のカウンターに並んで台本の読み合わせをやっているのもすごくセンスが良いです。
こんな時代の映画なのに、ゲイの客引きが出てきたり、会話の中にホモセクシュアルのことが出てきたりするのが「?」と思っていたら、wikipediaによると(真実ではない可能性もありますが)監督がゲイだったとあります。だから女性の描き方がちょっと辛辣で、全体的にこんなにセンスがいいのかなぁ(←偏見かもですね、すみません)
やっぱり誰かが薦めてくれた映画のほうが面白いなぁ…。しみじみ。
以上。