映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

廣木隆一監督「機関車先生」320本目

坂口憲二が、剣道でなぜか声を失った小学校教師の役。
その経緯を描いた作品じゃないことはわかるけど、その辺もう少し解説がほしいです。耳が聞こえないのか、声が出ないのか、ということもなかなかわかりません。

やさしい、静かな映画だけど、ちょっと薄い気もします。先生がおとなしすぎる。
声が出ない?あるいは耳が聞こえない?ということは、性格が内向きになるということとイコールではないのに。ファミレスとかで、手話でウルサいくらい(いやもちろん何も聞こえないけど)にぎやかにおしゃべりする子たちを見ることもあるし。

ひとつ、心に残るシーンがありました。彼が島を追い出されそうになったときに、「島の女と結婚させればいい」と聞いて、彼にあこがれる小学生の女の子が、きれいな大人の女性に「私にお化粧して」っていう。口紅を塗ってもらっているうちに、その女性には勝てないと気づいて「先生と結婚してください」と頼む。このエピソードはとてもいいですね。

「きれいな大人の女性」役の大塚寧々はじっさい清楚できれいだけど、倍賞美津子のバイタリティあふれる演技も素敵です。やけに女性をエロチックに魅力的に描くなぁと思ったら、エロチックな映画をたくさん撮ってる監督なんですね。さすがです!