映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

黒澤明監督「天国と地獄」674本目

本当に面白い映画、ってのは、こういうのをいうんだろうなぁ。
すごいものを見たわ。
この映画は、みんな見なければいけない。
と思います。

三船敏郎の貫禄と人間味。
三橋達也の、やけに重厚な安っぽさ。
仲代達矢の知性と粘り。
山崎努の性質の邪悪さ。この人、若い頃からここまで演じられる人だったんだなあ!
目立たないけど東野英治郎藤原鎌足のリアルな存在感もすごい。

何が天国で、何が地獄なんだろう?
企業の重役たちの欲の張り合いも濃くて熱いけど、トリックもすごいし謎解きもきわめてスリリングです。
アガサクリスティとかが好きなミステリファンでも、じっくり味わってため息をつくような世界。
なんて魅力的な世界なんでしょう。この世界の中に私も存在してみたい、と思えるほど強烈に惹かれます。

黒澤明×三船敏郎土星木星みたいに大きくて重い二人が、周りの人たちをみんな渦に巻き込んで、すごいものを作ってしまった。と、大いに感動したのでした。