映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ラッセ・ハルストレム 監督「ギルバート・グレイプ」868本目

1993年の作品。
「マダム・マロリーと魔法のスパイス」「ショコラ」の監督の、もっと若いころの作品。といってもすでに40代。この作品は、心が暖かくなる部分もあるけど、胸を締め付けられる部分も多くて、青春、の苦い香りもあります。

デカプリオがすごい天才少年です。ていうか19歳??まだ中学生くらいにしか見えない!
すぐに興奮して叫び出したり走り出したりしちゃう少年を演じて、完全にそういう少年と化しています。めんどくさそうで、だけどとてつもなく可愛い。

ジョニーデップは彼の面倒をみる兄。兄大変だよね。父親がある日突然死んでしまってから、壊れそうになっている家族を、なんとか繋ぎとめようとがんばってる。大きくなりすぎた美しいお母さんも、生意気な妹たちも、それぞれ生き生きとしていて惹かれます。

最後に路上にいる二人の兄弟の表情が最高。この先もいろんなことがあるだろうけど、逃げ出したんじゃなくて、最後までずっと見守ったから、新しいことを始める表情が明るい。こういう瞬間が一生のうちに何度かあるのだな…。そんな感慨をもたらす映画でした。