映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ワン・ビン監督「三姉妹 雲南の子」1529本目

最近エネルギッシュな映画ばっかり見てたので、おじいちゃんの家に里帰りしたような何もない風景に一瞬引いてしまいました。ドキュメンタリーみたいだし、これは切なくなる心の準備が必要なのかな、と。
でも、なんかこの静かな絵が、心地よいのです。静かに普通に暮らす3人の子供たちは、家に普段大人がいないことが異状なんだけど、おじいさんやおじさんという助けてくれる大人もいるし、友達もいないわけじゃない。
何より、子供たちも羊たちも大人たちも、自然で普通でいい表情をしてる。鶏も羊も健康そうだ。段々畑も山々も、眺めているとほっとする。子供達はいつも割と厚着だけど、雲南地方って中国の中では東南アジアに近いし、過ごしやすい気候なんじゃないだろうか、と思う。

十分に学校に通う余裕がないことも、出稼ぎのせいで家族一緒に暮らせないことも、これから良くなると思わないと絶望が心のすきに入り込んでしまいそうだ。

ものがたくさんあっても、選べずに振り回されるくらいだったら、最初から1種類しかないほうがいい。