映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ピーター・ファレリー監督「グリーンブック」2332本目

このところ全然映画を見る時間がなかったな~。機内で途中までしか見切れなかったこの映画、やっと借りられました。

「指輪」前のチンピラ役ばっかりやってたヴィゴ・モーテンセンが好きで、最近はその路線の役ばかりなので個人的には嬉しい。この映画ではほんとうに、チンピラ中のチンピラという安っぽさがなんともじわじわ来ます。その真逆のお上品なドクター・シャーリー。多分誇張がある、というか、ほとんど誇張なんだろうけど、これなら今のご時世でもpolitically correct、安心して笑って楽しめるドラマに仕上がっています。※いやな言い方かもしれないけど、こういう基準って時代によってほんとうに違うから、とくにハリウッドは。

流れとしては当然予想できるとはいえ、二人の正反対のキャラがうまく融合していく感じは、「インビクタス」のチーム内の友情みたいで、たぶん人間ってみんな(動物も同じだと思う)自分に似たもの・違うものという区別に敏感にできていて、最初は見た目や物腰、言葉遣いの違いが気になるけど、長く一緒にいると共通の部分が見えてきて違和感がなくなってくるものなんだろう。今ってなんでもスピードが速くなってるから、即断即決した言葉が流れることが多いけど、本当はきつい言葉を流してる人たちにも、こんなふうに融合するチャンスがあったんじゃないか…。

この監督の映画は昔から面白いけど、この題材は深く、かつ、重くなりすぎない、とてもいい具合のドラマに仕上がっているように思います。誰にもおすすめしたい映画でした。