映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マドンナ監督「ワンダーラスト」2555本目

「僕の大事なコレクション」で英語のあやしいウクライナ人通訳をやったユージン・ハッツが出てるので借りた。今回は正しい英語を話しています。ポルカ・パンク・バンド?をやっていて、男性向けSMのSをやってお金を稼いでますが、階下に住んでる盲目の元詩人のための使い走りで小銭を稼いだりもします。彼のルームメイトは二人の美しい女性、一人はバレリーナだけど食い詰めていて、ポールダンサーの仕事を始めます。もう一人はインド人が経営している薬局で働いていて、適当に薬をくすねたりしている。

なんかみんなイギリス英語だなと思ったらイギリス映画なんですね。原題は「Filth & Wisdom」下劣と知性かな。正反対の概念を並べるタイトル、ジェーン・オースティンの「プライドと偏見」「分別と多感」とか意識したのかな。日本語にするのが難しいし、できてもあまりアピールしそうにないので「ワンダーラスト」で正解だけど、Wanderlustは放浪癖という意味なのでwanderlust kingは欲望の王じゃなくて放浪の帝王みたいな感じなんじゃないのか?

マドンナはガイ・リッチーと離婚する直前にこの映画を監督したみたいだけど、その後も引き続き映画に関わってるんだな。。

マドンナの世界の主役はチンピラ男と美しくて強い女たち、という気がする。どっちも素敵。この映画のAK=ユージン・ハッツはヴィンセント・ギャロほど崩れてないけどヴィゴ・モーテンセンほど開き直ってない中くらいのチンピラ度。まあまあ真面目に暮らしてきた自分とは対極だから、映画の中のこういうチンピラたちに惹かれるんでしょうかね。

私こういう、エネルギー溢れる人たちの群像劇って好きです。