映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イ・チャンドン 監督「バーニング 劇場版」2452本目

<ネタバレあり>

原作たぶん読んだはずだけどあまり覚えてない。

「普通っぽいけどわりと精悍かつ知的で意外と女にもてる主人公」「美人で感受性が強く純粋なヒロイン」「世界を手に入れたようなお金持ち」という定番の登場人物。フィッツジェラルドのグレイトギャツビーへの言及。井戸に落ちた体験。

村上春樹の小説は、中で長い時間が経過するものも多いので、短編が148分の映画になるのも不自然ではないです。

監督は「私の少女」や「ペパーミント・キャンディ」の人だ。痛みを描くのがうまい人。

この映画で一番驚いたのは、村上春樹にはあるまじき?復讐の成功が最後にあること。まるでカタルシスはないけど、それでも「はけ口」があると少しは安心するんだ。

あのお金持ちは何物なのか?気まぐれな神みたいなもの?ヘミはどこへ消えた?(…深堀しだすと2時間半じゃおわりませんね)

韓国ニューシネマっていうジャンルがあるのかどうか知らないけど、この映画は春樹ぬきでも見ごたえのある作品でした。