映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マーク・ギル監督「イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語」2486本目

劇場で見逃した後、いつソフト化されるのかと思っていたら、とっくになっていました。KINENOTEのアラートって一度も上がったことないな。

モリッシーとジョニー・マーのスミスは、大学生の頃の私たちの憧れで、バンド仲間とよくテープを貸し借りしたもんでした。彼らの音楽は圧倒的に新しかった。ずっと独自のメロディを鳴らし続けるジョニー・マーの饒舌なギターに、モリッシーが鼻声でひねくれて美しい歌詞を乗せて、ポップな楽曲に仕上げる。

デビュー前の理屈やモリッシーが行ったライブハウスで演奏しているのは、初期のロキシー・ミュージックだ。実は時代がそう遠くないんだよね。若いブライアン・フェリーとジョニー・ロットンとモリッシーのいたロンドンなんて、生涯で一番憧れた場所だなぁ。

しかし、だ。モリッシーはホアキン・フェニックスみたいにガタイが良いし、ゲイであることが彼の一番よく知られた個性だと思うけど、ジャック・ロウデンは細いしゲイにも見えないし鼻声でもない。別人。映画としては違和感ないけど。いったいこの映画は、モリッシーに大反対でもされたのかな、何が何でも一切スミスの楽曲を流さないというのは。ググったらやっぱり「本人非公認、一切制作にかかわってない」らしい。Rotten Tomatoesの評価もひどいな…特に観客スコア、38%とは。

マンチェスターってどんな町なんだろう。博多?言葉にすごくクセがあるんだけど、これはマンチェスター弁なのかな。

そして映画は「スミス結成前夜」のまま終わる。斬新だ。音楽さえ演奏しなければ、「本物と全然ちがーう」と文句を言われることもない。この映画だけを見ても、彼がのちにスミスのモリッシーになるのか、それとも何物にもなれずにプライドだけ高いホームレスになるのかもわからない。それも一つの人生。

それより私は今のモリッシーのほうが知りたいかも。