映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

中村義洋 監督「フィッシュストーリー」2592本目

この映画はだいぶ前に見てちゃんと感想も書いたんだけど、みょうに頭に残ってる部分があちこちにある。高良健吾のダラっとしたボーカルのパンクバンド「逆鱗」の「フィッシュ・ストーリー」って曲がすごく好きだし(斉藤和義にプロデュースさせて正解、って前にも書いた)、多部未華子が天才数学者になってナルコレプシーと戦いながら宇宙船の中で計算を続けてるのも忘れられない。

ときに、私は今年になってから仕事を変えて、今、ちょー最先端のコンピュータを扱っている会社にいるのですが、そこの若い研究者の女の子が、いつもPCとは別にタブレットを持っていて、手書きでXだとか何乗だとか長い式を書いて何やら計算してるのが、なんだかカッコよくてついじっと見てしまうのです。それを見ていてこの映画の多部未華子を何度も思い出してしまい、どうしてもまた見たくなった次第。

GOKは私たちの隣でストリートスライダーズが練習してたくらい、まともなスタジオではあるけど、レコード会社がコマーシャルなレコードを作るのに使うことはないだろう、っていうか設定は1970年代だからそういう問題じゃないか。

改めて見ると、ひとつひとつのエピソードのテンポはあんまり良くないな。こういうホラ話はちゃっちゃっと場面転換したほうが楽しめる。でもそれにしてもアイデア勝ちで筋がすごく面白いし、キャスティングも言うことなし。こんなに役者を大勢、場面も多いしロケも多い映画をよく作ったよな。「クラウド・アトラス」みたいだけどこっちは最後すべてがつながる分、スカッとカタルシスがあります。

で結局、一番はじまりのはじまりは、フィッシュストーリーを訳した「ハーフじゃなかった男」か。しかしそのときも、逆鱗がこの曲を録音したくだりでも、「これが世界を救う」っていう運命論的な話は出てこないのね。あんまり言いすぎるとうるさいけどね。すべてをつなぐのは岡崎の息子=中古レコード屋の店長、といっても彼は途中の正義の味方の話は知らない。

多部未華子が大学のホワイトボードに計算式を書きまくる場面と宇宙船の中で計算する場面、最後の5分に出てきて合計1分足らずかな。実際はPCに向かって入力しまくりそうなものだけど、会社のあの子も手書きしてることを考えると、やっぱり手書きなのかな…。今度あの子に聞いてみよう。 

フィッシュストーリー

フィッシュストーリー

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video