映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ザック・ペン監督「ATARI GAME OVER アタリ・ゲームオーバー」2651本目

アタリ…。私が存在を知った頃にはもうすたれていた、なんか切ない響きのあるこのゲーム会社・ゲームコンソールの名前。

黎明期のワヤワヤな感じはマイクロソフトの黎明期のドキュメンタリーと同じだな。エンジニアたちはみんな長髪でお行儀が悪くて…でもすごく楽しそうで。人種も性別も年齢も関係なく、同じものが好きな人たちが一緒にマリファナ吸いながら仲良くなる(※マイクロソフトはマリファナはないと思う)…ってのは、フラワーチルドレンだな。ヒッピー文化の応用系だな。だからシリコンバレーでもシアトルにでも移民が多いし、圧倒的に民主党が人気だしみんなプリウスに乗ってる。私もそっちに乗りたいほうだけど、もはや遠い世界だな…。

アタリ失脚の原因は史上最悪の「クソゲー」と言われている「E.T.」の失敗にあり、今もアタリ社屋があった近くに売れなかったE.T.ゲームが地下深く埋められているという都市伝説があるそうな。その発掘を「レディ・プレイヤー1」の原作者が、デロリアンに似た車の助手席に等身大のE.T.を載せて見に行く。…そういうのってめちゃくちゃワクワクするんですけど、ネットゲーム興亡記にも、マーベルとかDCコミックスにも、もうときめかない…悲しいくらい私って昭和だなぁ。

と書きながら、PCとTVをHDMIケーブルでつないでこの映画を見ていたら、PCがフリーズした!久々に見たブルースクリーン。なんかこの映画の行く末というかアタリの苦い思い出を表しているような…。今もそのPCは起動チェックに時間がかかってるので、別のPCで感想を書きながら続きを見ます。 

発掘現場には大勢のマニアがつめかけていて、なかなか出てこないゲームカートリッジを今か今かと見ていましたが、最終的には出土しました。埋めたものが出てきて何がうれしい…という気もするけど、このカタルシスは何だ!

クリスマス商戦に間に合わせるため5週間で作ったんですって、膨大な権利料をスピルバーグに払って。こういう無理な計画ってやめといたほうがいいんですよね…。いい夢見られてよかったのかもしれないけど、このゲームを作った当時のスター開発者がやっとこの映画で名誉回復されたのは、本当に良かったと思います。

ATARI GAME OVER(字幕版)

ATARI GAME OVER(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/16
  • メディア: Prime Video