映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デニス・ホッパー監督「イージー・ライダー」3081本目

<ネタバレあります>

この作品はいつ見たんだろう…ジム・ジャームッシュとか見てた頃にイキがって見たのかな。今見ると、なにか気づくことがあるだろうか。

唐突な始まり。デニス・ホッパーが監督した「ラスト・ムービー」という作品を見たときも、構成が雑っぽいなぁ(意図的としても)と思ったけど、この映画も同じだ。

焚火を囲んでマリファナを吸いながら、そこで出会った人たちと話す…既視感があると思ったら「ノマドランド」だ。イージー・ライダーたちは驚くほどノマドに似てる。この映画を見て育った世代かな、ノマドたちは。

この映画の名作たるゆえんは、小さな町にしがみつくように生きてる人たちから見て、彼らの自由は羨望の対象で、それがやがて憎しみに変化すると言い切ったこと、 3人の自由な男たちが彼らに、害獣みたいにあっさり滅ぼされてしまうこと。これは悲しいかな普遍的な真実で、現在のアメリカにももちろんあるし、銃を持っていないだけで日本にも長年根付いている。

この映画を初めて見たときは「麻薬なんて不良!」って引くくらいお嬢ちゃんだったかもしれない。「不良だけど殺すことないでしょ!」とも。でも自由を求める人は若くして死ぬことのほうが、小さい町にしがみついて年を取るよりいいと思ってるのかもしれない。

その後ピーター・フォンダもデニス・ホッパーも共和党員になったってwikipediaに書いてあって、逆じゃないかって気がするんだけど、自由=民主党、保守=共和党ってほど単純じゃないんだろうな…。

アメリカを知り、人間を知るために重要な作品だなと思います。今でも。