映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

金子修介 監督「ガメラ 大怪獣空中決戦」2658本目

この映画はキネ旬2位になるような作品なのか?

子どもの頃さんざっぱら怪獣映画やヒーロー番組を見まくって、シン・ゴジラにもけっこう感動した私だけど、この映画は1990年代のテレビドラマのように見えます。怪獣の造形は時代時代で技術が変わっていくけど、この映画は1970年代の円谷プロ作品よりすごいと感じない。なんでかというと、置物として見れば見事なんだけど、これは動画だから、空を飛ぶ怪獣にはこう「ふぁさ、ふぁさ」という質感とか、動きの美しさとかがないとダメなの。ガメラは岩みたいな怪獣だしよくできてるなと思うんだけど、ギャオスはゴムのこうもりに糸をつけて引っ張ってるような感じ。

藤谷文子も中山忍も、とても可愛いんだけど、中山忍ってもともと無表情な人なんだよね。こういう美形で無表情の科学者っていそうだけど、そこで推理させる映画じゃないから、何かもう少し変化をつけてほしい。。。これはシン・ゴジラでは市川実日子になっていて、すぐれて現代的でした。藤谷文子の役どころは大昔の「モスラ」のザ・ピーナッツだよね。この映画を最後に、シン・ゴジラにはもうこういう「巫女」は出てこない。逆にニュースキャスターとか自衛隊とかのリアルさは、この映画が最初だったんだろう。シン・ゴジラはすごい作品だと思うけど、大昔の「東映まんがまつり」からシン・ゴジラの間の途中の作品としてきっと重要だったんだろう…。

そして、ギャオス=悪、ガメラ=善という単純すぎる二元対立もなぁ。東宝にはウルトラマンもスーパーマンもいないから、誰かに正義の味方をやらせたいんだろうけど。怪獣どうしなのに。サメは悪くてイルカは良い、的な人間のエゴみたいでイヤだなぁ~

今見るとこの映画は90年代っぽさがマイナスに働いてしまうんだな。ニュースキャスターの髪型の巻きの強さと肩パッド、爆風スランプの電子音。…と思うにつけ、シン・ゴジラ製作チームには過去を払しょくする葛藤があっただろうな、よく頑張ったなと改めて思ってしまうのでした。 

ガメラ 大怪獣空中決戦

ガメラ 大怪獣空中決戦

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video