映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

TVアニメ「鬼滅の刃」2916本目

シリーズ1は13本かと思ってたら26本あった。ゼェゼェ

3日間で一気に見ましたが、面白かった。何が面白いかというと、

  1. 主人公の炭次郎がオバマとかネルソン・マンデラのような、親しみやすさがあるのに人格高潔で家族や友人、敵にまでも愛情が強いところ
  2. 刀が武器であり、日本の昔ながらの”もののけ”のような”鬼”がたくさん出てくるクラシックなところ(「リトル・チャロ東北編」を思い出した)
  3. キャラクターが可愛い(ねずこを始めとする女子たちも、伊之助や鬼舞辻といった男子キャラも)
  4. 最初から大勢出てくるんじゃなくて、話の進行につれて、より強いキャラクターが少しずつ出てくるのがわかりやすい
  5. 敵と味方の中間であり、どちらでもあるかのような「鬼になりきれない存在」が常駐してるのが新しい
  6. そうは言っても殺戮シーンはなかなか残虐で悲惨なので、そんな殺戮をはたらく鬼を殺してしまえ!という、味方側の残虐さに肩入れしやすい
  7. あと、女子キャラの割合が多い(全体の半分とまでは言わないけど1/4~1/3くらいはいる)
  8. 敵キャラは血も涙もなくて、「敵と味方の距離感が近づいてきつつあった時代」はもう遠い気がする

とかですかね。

最後の「7」なのですが、作者はどうやら女性らしいし、レコード大賞をとったテーマ曲の歌唱と作詞を手掛けたLiSA、作曲の草野華余子、音楽全般を担当している梶浦由記は全員女性だ。(といってもほかにも膨大なスタッフがいるのにここだけ注目するのは片手落ちかもな)

「6」の残虐性も、エヴァンゲリオンを経た今(昔から紙のマンガはかなり血みどろだったけど)少年少女向けのアニメの残虐さはもう留まるところを知らないよなぁ。現実の事件映像はあいかわらずボカシがかかっているけど、実写ドラマを越えてアニメはエスカレートを続ける。その効果は、残虐な殺傷事件を引き起こすというより、上にも書いたように、自分が傷ついたときにリマインドされて、「被害感情が怒り~強い反撃感情に連なるという一連の流れが起こる」「その流れが帰結するところの反撃の正当化」じゃないかと個人的には感じるんですよ。残虐な殺傷事件につながるとは正直思ってないけど、正当化を伴うカジュアルないじめとなって周囲にまき散らされることがないといいな、と、なんとなく思います。被害者感情ばかり強い大人が、気安く知らない人や組織を強い言葉で攻撃するのをたくさん見てきたから。。。これは「8」ともリンクしてる。

しかし、続き、見たくなるね。シリーズ2は今年やるらしいけど、時期はまだ決まってないようだ。映画はまだ上映されててDVDは6月とのこと。レンタルを待つうちに筋もキャラクターも忘れそう…。