映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マッツ・ブリュガ― 監督「誰がハマーショルドを殺したか」3186本目

1961年に国連事務総長が乗った飛行機が落ちたのか。衝撃的だな。平和の使者のような人が…と思うけど、大きな利害が彼にかかっている人もいたのか。

監督が映画冒頭からインチキ臭い、という理由で、内容もマユツバものかなと感じさせるけど、見せ方が取材された事件の真偽に影響するわけじゃない。ハマーショルドの死亡を伝える姿がニュース映像に残っているJ.F.ケネディ自身、2年後に暗殺されてるからなぁ。この時代の各国の諜報機関が隠れてやっていたことが、私たちの想像を超えていた可能性は、否めないと思います。私は陰謀論者ではないけど、エドワード・スノーデンは今も逃げ続けてる実在の人物だし、「マイアミ・ショウバンド」っていうアイルランドのアイドルグループが英国軍に虐殺された事件も史実だ。この映画で提示していることも、可能性の一つとして考えればいいんじゃないでしょうかね。

「予防注射によってアフリカの人たちにHIVウィルスを蔓延させようとした」という話は、感染者と同じ注射針をそのまま使い続ければ簡単に感染するのがウィルスなので、十分な滅菌処理ができない土地で、予防注射を介した感染が起こった可能性はある。現地人を実験台にすることは、戦争中にドイツ軍も日本軍もやってた。ありえないほどバカな戦略も、権力の手先としてなら実現できてしまうことがある。

ほぼ無傷の遺体も変だけど、その襟元にはさんであったスペードのエースのカードはほとんど、つまらないミステリーの演出みたいだ。センスのない番組が、誰のNGも受けずに放送に乗ってしまって、批判が殺到することがあるように、上層部がのちに恥じるような稚拙な戦略が通ってしまったこともあったのかも。どんな立派な会社にも、確実にバカはいるし。

国連事務総長の暗殺とか、実に無意味でコスパが悪い、あたまのわるい作戦だ。ある民族の人たちを根絶するという、まさかと思うようなことが実際にとんでもない規模で行われたくらいだから、集団催眠みたいなものがそういう作戦を通してしまうのかもしれない。そう考えると、ネルソン・マンデラが天寿を全うできたのはずっとロベン島に閉じ込められてたからなのかも。

「こんな話嘘っぱちだ」とみんなが言ってると、悪い人たちが安心して「しめしめ」ってほくそ笑むから、「嘘くさいけど、事実である可能性がまだ1%はあるので、今後も注視してやる」と言いたいです。