映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アンリ・ジョルジュ・クルーゾー 監督「悪魔のような女」3207本目

<ネタバレあります>

あの「恐怖の報酬」のクルーゾー監督。追い詰めるようなスリルを演出させたら、右に出るものはありません。

この作品ではシモーヌ・シニョレvsヴェラ・クルーゾー(まだ監督と結婚する前だけど)という構図があって、ヴェラの悪い夫は虚弱体質の妻の目の前で、シモーヌとの不倫を隠そうともしません。舞台が小学校であるにもかかわらず!

殺人事件があったのに死体がスルっと消えている、ということが何度もあって、さすがに騙されてるって気づけよ、この人このまま不幸になるのかなーと心配してたら、怪しいけど真実を掘り当てそうな探偵が現れます。でも結局、この探偵にも何度も驚かされ、妻は哀れにも‥‥。

二転三転する系の映画を見すぎて、結末は想定内でしたが、ちょっとこの妻、いじめすぎですね。監督が自分の妻を出演させるときにありがち…。

結局、悪魔のようなのはシモーヌだけじゃなくて夫もグルだったわけですが(だって金持ちなのは妻だけだから、結託したらその結末になることは明らか)、何より一番怖いのは、ヴェラがこの映画の5年後に実際に風呂場で変死していたという事実…。