映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ハンス・ペテル・モランド 監督「特捜部Q Pからのメッセージ」3541本目

北欧的な、陰鬱な雰囲気、陰惨な殺戮方法、それと裏腹にも思える、感情が高ぶらない、乾いたというより冷気で固まったような人々。ぶっちゃけそれだけで北欧ミステリーを読んだり見たりする醍醐味がじゅうぶん味わえるのです。シリーズ3作目だけど、まだまだ飽きません。

しかし、<以下とつぜんですがネタバレ>因果応報じゃなくて、被害者が転じて加害者になるというパターン多いな、というか、だいたいいつもそうじゃない?現実は因果応報よりその方が多いのかもしれない。最初に誰かを加害した人が罰を受けることがないばかりか、その人の罪はそれほど重くなかったケースもある。ウイルスみたいに、悪はそれを受けた人の内側で増殖し、増強されて、さらに過酷な被害を、そこにいる最も弱くて純真なものにもたらす。・・・そんな連鎖。後味悪い。

でも見ちゃいますね。いつかこれに飽きるとき、北欧ミステリーを少しはマスターしたことになるのかな・・・。