映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ポール・トーマス・アンダーソン監督「ブギーナイツ」1835本目

1997年とは、もう21年も前の映画だ。
テッドでのキャスティングをなるほどと思わせるマーク・ウォルバーグ。
平凡な小太りの大学生みたいなフィリップ・シーモア・ホフマン!(後ろから見ると女性みたい)この後ずいぶんすごい俳優になったんだなぁ。
ヘザー・グラハムは可愛すぎる。これはどんな男性でも仔猫ちゃんとか呼びそうだ。
ジュリアン・ムーアって若い頃はこんなにエロかったのか。
などなど。いろんな人たちがまだ若くて、それだけでもちょっと昔のアメリカのひと時代って感じがします。

中身のことをいうと。
明るくて屈託なくて、「俺はコレで出世するんだ!」と拳を振り上げる、まるで巨人の星みたいな健全さがアメリカなんだろうけど、関係者たちがそれなりに真面目に制作してるところがなんとなく意外。新人監督にしては随分豪華なキャスト、女優さんはフルヌードの濡場だし、期待が大きかったんだろうなぁ。

劇中映画の中ではみんなセリフ棒読み。低予算映画の味わい・・・。
後半に向かってどんどんみんな落ちていくんだけど、2000年代の映画ならちゃんと因果応報になりそうなところを、どうやら生き延びられそうなカラ元気で締めくくるところがこの監督なのかな。

面白かったけど、私は「マグノリア」の不思議な雰囲気の方が好きかな〜。監督が自信をつけてさらに大胆に踏み込んでいったってことかも。