せつない・・・。
芸術って、人の心が感じたものを、他の人にも感じられる形で表すことだ。ひりひりとたくさん感じられる人が、恥ずかしがったりカッコつけたりしないで、それを最大限に出すことができたら、他の人たちはそれに感動する。
彼女の歌を聴くようになったのは中学生くらいかな。自分でレコード(※CD未発売)を買うようになってしばらく経ち、いっぱしに思春期の悩みを抱えたりするようになって、きれいで美しい音楽だけじゃなくてパンクやジャズや電子音楽の面白さもわかりかけてきた頃。
すごいなぁと思った。夏がなんでそんなに悲痛なんだろう、とか。その頃は、人が感じるものがそう違うとは思っていなかったので、すごいのは表現だと思ってたんだろう。この映画で、言葉のふしぶしに彼女のやさしさというか、共感性の強さを見てしまった。「いい人だなぁ」といっても間違いじゃないけど、彼女は人を愛する人で、自分も同じように愛されたくて、いつも周囲の人たちの気持ちを気遣ってたとも思う。
そんな気持ちのまま亡くなってしまった彼女がいとしく思えて、切なくてたまらんです。
ドラッグでミュージシャンが次々に亡くなっていた1970年代、きっと今後は致死量のドラッグなんて簡単に手に入らなくなって、このような形で亡くなる人は激減すると思ってたけど、彼女のように天性の才能をもっていたエイミー・ワインハウスも若くして亡くなってしまった。薬が買えなくてもお酒ならどこででも買える。世界中の人が戦争から学んでこれからは少しずつでも平和になると思ってたけど、今もなくなるとは思えない。人間の本質って変わるものじゃなかった。だから今日も、明日も、自分の弱い部分が致死量のお酒を飲まないように、自分の中に隠れてる悪い人が誰かを攻撃しないように、わきまえてつつましく暮らす。そうやって暮らしてるから、ジャニス・ジョプリンの魂の叫びがまぶしく、かつどこか懐かしく胸にひびくのかな。