映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マルセル・カルネ監督「愛人ジュリエット」3704本目

1951年の作品だけど、リマスターされていてすっごく映像がきれいです。

「天井桟敷の人々」の監督だよね。「巴里の空の下」とか「嘆きのテレーズ」も見たな。人々が優雅で、ダンスを踊るように動く。夢の中みたいにどこかロマンチックで、でも胸がつぶれるくらい切ない。

この作品ではジェラール・フィリップが完璧な貧しい王子様で、とにかく美しくて健気なのだ。彼のプリンセスであるジュリエットも、純真で可愛らしい。濃いキャラの彼の雇い主を演じたロジェ・コーシモン、国も言語も違うのにベルイマン監督の「夏の夜は三たび微笑む」のグンナール・ビヨルンストランドを連想した。北欧やフランスに、こんなにくっきりとした容貌で黒髪黒い目の人がいるのか、と勝手に意外に感じてしまって。

私こういう、夢の中っていう空気のなかで、登場人物がみんなふわふわしてる世界がなんかすごく好きなんですよ。「去年マリエンバードで」とかも。見てて疲れない。昔の監督すぎて見られる作品は限られるけど、また見てみよう。