映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イエジー・スコリモフスキ監督「EO」3726本目

「11ミニッツ」が”犬死に”を描いた不思議な映画として強烈な印象を残したスコリモフスキ監督。今度はロバ??ロバってすごく可愛いけど、どうもちょっとおまぬけなイメージがあります。この子を彼はどうしようというのか。「バルタザールどこへ行く」で泣いた、とあるので、動物愛にあふれた作品であることは間違いなさそうです。

EOくんは”かわいそうなサーカスのロバ”だったのが解放されて、あちこちにふらふら出かけて人間のろくでもない営みを目撃する。ユペールせんぱい演じるカルトにつかまって逃げ出したのはいいけど、なぜか肉牛と思われる群れの中に取り込まれてしまい、また囲い込まれる運命に。

サーカスの動物は本当にかわいそうなのか?外で暮らすようになったら何が起きるのか?という疑問から想像をふくらませた映画なのかな。

ものごとの因果関係を想像できるのは人間だけらしい。(類人猿のごく一部の個体もこの能力を持つらしいけど)バルタザールもEOも、おそらく「今」だけを考えて一生懸命に生きてるんだろう。

ロバは可愛いし、なんとなく物悲しいけど、いまひとつこの映画の趣旨がストレートには迫ってこなかったです。。。この監督の作品はいつもちょっと難しいな。